リーグ・オブ・レジェンドを遊んでいると、たまに凄く調子の良い時があったりしませんか?

それは、ハンドスキルの調子がよかったり、自分の動きが良かったり、そしてなにより絶好調と自分でわかる感覚の時です。

スポーツをやっていたり、日常ではジョギング中に稀にこういった感覚を感じることがあります。

特にアスリートであれば、過去に一度は経験したことがあるのではないでしょうか。LOLでも、経験することがあります。

このような感覚を、スポーツでは「ゾーンに入る」「ゾーン体験」と言います。

ゾーンとは、極度の集中状態にあり、特定の作業に没頭している状態を体験することです。

普段使っている調子が良い、という状態だけではなく、心と体が一つになって、無我の境地に達している状態という風に表されます。ゾーンに入ったアスリートは、下記のように表現します。

  • 心地よくリラックスできているのに、集中力が増している
  • 全てが思いの意のままに動いている感覚がする
  • 頭が凄く冷静で、体が自然に動く
  • 全てが気持ちよく、最高の気分

私の経験では、遥か上から勝手に動いている自分を眺めているような感覚を何度かしています。ゾーンを体験した選手は、「自分に何か今、特別なことが起こっている」とゾーン中に自覚させることもあります。

ゾーンが試合の勝敗に必ずしも結び付くわけではありませんが、選手の持っている潜在能力を最大限に引き出した上で、極限に集中できている状態であり、選手にとっては喜びにも似た感覚を実感できる状態です。

心理学では、ミハエル・チクセントミハイ博士が、そんな無我夢中状態をフロー体験という用語で説明し、どのようにフロー体験を得ることができるのかを解明しています。


フロー体験とは?

フロー体験とは、アスリートでいうゾーンと同じです。チクセントミハイ博士の定義は、自分自身の心理的エネルギーが100%、今取り組んでいる対象へ集中している状態、としています。

チクセントミハイ博士によると、フロー体験が生み出される主要な条件があります。以下の4点が主要な条件です。

1_2
フロー体験 喜びの現象学

  1. 自分の能力に対して適切な難易度のものに取り組んでいる
  2. 対象への自己統制感がある
  3. 直接的なフィードバックがある
  4. 集中を妨げる外乱がシャットアウトされている

本記事では、フロー体験を得るための詳細は記載しませんが、興味のある方は以下のチクセントミハイ博士の著書を一読するといいでしょう。フロー体験の入門書と言える一冊です。

フロー体験について学ぶ際に、心理学の基礎的な知識があるとよりいいでしょう。

大学で心理学の基礎の授業を取っていて、復習する場合や、心理学を学んだ経験のない方は以下を読んでからフロー体験を読むとわかりやすいと思われます。

私の経験では、ジャングルをしている際に相手のジャングラーがどこにいるかほぼわかり、どのくらいの体力で今回っていて、次にどのレーンをガンクするのかを掌握できる時があります。

相手の行動をなぜわかるのか、それはこれまでジャングラーとして積み上げてきたものの経験からくるものですが、感覚的にわかるという感じです。また、マップをズームアウトした状態で遥か上から試合を眺めている感覚があります。

フロー体験は個人で感じるものですが、チームとして感じる場合も度々あります。

例えば、圧勝している試合でも稀に「ちょっと味方オラオラすぎないか?大丈夫かな」とか思うことはないでしょうか。一つの油断から負けに繋がるLOLでは、特にそのような心配をすることが度々あります。

チームとしてフロー体験を感じている時は、チームでまとまって動いているのが心地よく、チームの中で個人として動いているのではなく、チームという生き物を形成する要素の一つとして自分が動いている感覚です。

LOLは特に、集中力を要するゲームです。フロー体験の仕組みを理解し、フロー体験を経験することで無意識な状態で自分の潜在能力を試合に反映することができます。

高レートのような高い技術のハンドスキルを必要とし、要所要所での集中力の精度が要求されるプレイヤーと相性のよい心理現象です。