リーグ・オブ・レジェンドはチームで試合を行います。

序盤のレーニングと呼ばれる時間では、それぞれのプレイヤーは各々が担当するレーンに散らばりますので、個人の技量が問われます。

その中で、ボットと呼ばれるレーンだけは序盤からチームワークを必要とする特殊なレーンです。

ボットのレーンは、ADCと呼ばれる遠距離でDPSを出すチャンピオンと、サポートと呼ばれるADCの補助に徹するチャンピオンが担当します。

相手も同じ構成で来ますので、ボットレーンは自然と序盤から2vs2になります。

また、ADCとサポートは二人一組で行動をするのが多くの局面で望ましいので、ボットレーンのADCとサポートに限っては、他のレーンのプレイヤーよりも早い段階で、そしてより精度の高いチームワークが必要となります。

LOLは即席のチームなので、息の合わないボットの二人組が喧嘩をしている場面はよく見ますし、心理学的側面からも多少は仕方のないことだと思われます。

では息が合わなかった場合はどうすればいいのでしょうか?それには、社会的補償を適用するのがよい解決策だと思われます。


社会的補償とは?

社会的補償とは、グループで何かを行う際に、他者が信用できない場合、相手の不足分を補うべく自分の努力量が増大することをいいます。

この分野の心理学は実用性があり、また観察実験も比較的容易なことから、昔から着目されています。

現代ではビジネスの現場や、人材育成で注目される社会的補償は、1990年代から Williams 博士と Karau 博士により実験で実証されています。

両者の実験結果によると、ペアで何かを行う際、相手が能力が不足だと思った被験者はその分努力で補うよう行動しています。
Social Loafing and Social Compensation: The Effects of Expectations of Co-Worker Performance

ではLOLに話を戻しましょう。

息の合わない相方を引いたADCのあなたが、社会的補償を適用させるにはどうすればいいのでしょうか?

まず、お互いの息が合わない事は割と序盤で気付きます。相手のイニシエートが雑だったり、ピールをしなかったり、フォーカスが悪かったり・・・思いつく原因は沢山ありますね。

勝てないプレイヤーは相方をチャットで罵倒したり、指示を出したりすることが多いでしょう。

私の経験では、ボットで相方が悪かった場合、指示を出しても効果が無かったケースが多いです。チャットで支持を出す場合、集団戦におけるフォーカスやイニシエートの方法などに効果的で、細かいチームワークでは指示を出したり、意思の疎通を図るには時間が不十分だからです。

罵倒と支持をだすことを諦め、そして相方に諦めましょう。

そして強くこう思いましょう。

「俺の相方はアンランク、あるいは今日LOLを始めたばかりのぺーぺー!じゃ俺が頑張らないと!」

相方を初心者と思うことで、色々と諦めもつきやすいでしょう。

例えば、初心者にチャットを出したり支持をだすことで急にうまくなると思いますか?初心者が試合中に覚醒し、キャリーしてくれると思いますか?

そうです、あなたの相方は実は、今日LOLを始めたばかりの初心者なのです!!!

「おおおおおお!そうだったのか!じゃ、しょーがねー!」

罵倒する直前だったあなたは、優しく「レーンは耐えようぜ、ファームだけ専念してタワー割れてもいいからデスは抑えよう。集団戦で期待してるよ」と言います。相方に「え、こいつ実はちょっとええやつなん?」程度に思って貰えれば儲けもんです。

上記のようになれば、試合のどこかで、ピグマリオン効果が働くかもしれないので、仕込みは完了です。

ピグマリオン効果とは、教育心理学における心理的行動の一つで、「人間は期待された通りの成果を出す傾向がある」というものです。
味方が弱い?ならば強くしよう!ピグマリオン効果とは

そして相方に諦めたあなたは、レーンで初心者の相方を抱えながらも、対面に勝つ努力を始めます。

社会的補償が適用されると、この後、あなたの努力量は通常よりも多く、成果の向上が見込めます。

基本的に相方を罵倒することは、生産的ではありません。心理学では、一度、明確な嫌悪感を抱いた相手に対してなにかをしたいと思う気持ちは減少することも実証されています。

その場合、試合に勝利することよりも、試合に負けて相方の勝率を下げることに優越感を感じることもあります。

私の経験では、ボットのレーンでデスしたり、明らかに負けたりしているとチーム全体の空気が重くなりがちです。

チームの空気が悪い時に、気の利いた一言が言えるプレイヤーは、他の局面においてもピンチをチャンスに変える力を持っています。些細な一言でも、人は救われたり、自信に繋がることがあるからです。

相方に期待できない時は、期待することをズバっと諦め、社会的補償を適用させるといいでしょう。その上で、相方に後の集団戦で活躍できるかもしれないチャンスを作ることができれば、あなたは心理学で勝率を上げることができるでしょう。