リーグ・オブ・レジェンドは試合の流れによって、有利と不利が時間帯が交互にあるゲームです。

試合の流れの有利と不利は、ビルド、オブジェクト・コントロール、チャンピオンのパワースパイクなど様々な要素が関係してきます。

一概に、ずっと勝利確定な有利な展開が続いたり、逆転が不可能な程の不利な展開が続く、ということはありません。

例えば、ドラゴンを3体と、バロンも狩っている状態にも関わらず集団戦で負けていたり、タワー差がついていたりして結果的に試合に負けたことはありませんか?

条件的にはこっちが有利な試合を作っているにも関わらず、試合に負ける場合があります。上記の例の場合は、チャンピオンの構成差だったり、イニシエートの差だったりです。

その他にも、インヒビター、タワー、ドラゴン、バロンなどのオブジェクトを取った直後に、集団戦で負けるケースを度々目にします。

LOLのプロの試合を見ていると、気付きますがプロの試合ではあまり集団戦が起こりません。

オブジェクト前の睨み合いのテレポートを利用したスプリットプッシュや、オブジェクト・コントロールを活かした有利を作る戦略が目立ちます。

集団戦は確定で勝てるということがなく、運の要素や判断性が問われます。つまり、ギャンブル性が高いです。対して、戦略性で有利を作るほうがギャンブル性は低いです。

集団戦を行う場合は、その前に人数差をつけたり、将棋で言う王手飛車取りのように、相手に二者選択をさせる状況を作ります。

例えば、味方の一人がスプリットプッシュを行っていて、4vs5の状態だとします。「この集団戦、してもいいけど勝っても負けても今戻らないとタワーは割れるよ?バロンもドラゴンも今ないよ?」という状態です。

この場合、相手からすると集団戦に勝ったとしてもオブジェクト・コントロールには繋がらず、しかし自軍のタワーを失います。味方からすると、負けてもタワーは一本取れますし、勝てばそれ以上のリターンに繋がります。プロはこのようなローリスク・ハイリターンの状況を作りたいわけです。

上記のことから、試合に勝つ事を必然とするプロは、集団戦を避ける傾向にあります。

さて、勝てないプレイヤーはプロのように試合を作ることはできません。ソロランクということもあり、味方との意思の疎通の質が高くないので、繊細な戦略を取ることは難しいからです。

なので、ソロランクにおいて取る戦略とは、誰もが理解できている前提で取る確率された戦略になります。

スプリットプッシュがその代表です。スプリットプッシュとは、味方の内の一人が個人行動を取り、別のレーンを押しにいくという戦略です。その間、他の4人はグループをし、相手の行動によってその後のオブジェクト・コントロールへ繋がる動きを各自取ります。サイドプッシュと呼ぶ人もいます。

さて、低レートでは戦略性を活かした試合の質が低く、中でもスローと呼ばれる行為が目立ちます。


スローとは

スローとは、英語の throw から来ており、試合を投げる、試合を台無しにする、という意味です。

例えば、味方が完全に圧勝なのにも関わらずグループをせずに、個人行動を取り敵に捕まり屠られ、味方が4vs5を強要される場合、「お前、今試合をスローしたわ」と言われる場合があります。よく、「やらかしたわー」という人がいますが同じ意味で捉えていいです。

実際、上記の例ではあなたが試合をスローしたので罵倒ではありません。

スローの行為は、特にオブジェクトを確保した直後に起こりやすく、また勝っている試合でよく見る光景です。

例えば、レーンで先行して2キルを取ったものの、その後逆転され5デスするレーンや、バロンを取った直後リコールを挟まずに敵と集団戦をして負けるなどが典型的な例です。

なぜ、スローは起こるのでしょうか?それには、ハウスマネー効果が関係しています。

ハウスマネー効果とは

ハウスマネー効果とは、人は利益を得た直後、リスク志向を促進する傾向のことです。

ハウスマネーとは、カジノで扱うお金やチップのことです。カジノで大金を稼いだ後、人は更なるギャンブルを求めリスクを取る傾向があることに由来しています。

日常的にも、臨時収入やボーナスが入った直後、人の財布の紐は緩くなりがちです。思わず衝動買いに走ったりする人には、このハウスマネー効果が働いています。身近な例でいうと、お年玉とかも当てはまります。

LOLでいうと、オブジェクトが臨時収入に当たります。オブジェクトを取った際は試合が有利に運んだと思い込み、冷静さを欠いた集団戦を起こしがちです。集団戦をする場合は、その後に繋がるオブジェクト・コントロールを意識した上で、ローリスク・ハイリターンであることを念頭に置かねば勝率は上がりません。

例えば、よく勝てないプレイヤーの試合で見るのがバロンを狩った後です。

バロンバフがある状態では、グループしてレーンを押しながらミニオンにバロンバフを分け与え、プッシュするのが大体の場合は正解です。しかし、レーンではないジャングルで集団戦を仕掛けたり、個人行動を取って捕まったり、バロンバフの強みを活かせてない傾向がとても強いです。これらは前述のスローに当たります。

その場合、

「なぜ、我々はバロンを狩ったのか?」

と考えることで、バロンバフの正しい活かし方ができるでしょう。

LOLは試合をスローするのがとても簡単にできる反面、一度手放した有利を取り戻すには労力を必要とします。

有利に試合を運んでいる場合、負けている時以上に慎重にならざるを得ない場面がとても多いゲームです。

スローは自分が気を付けることで、個人でのスローを減らすことができます。折角作った有利をスローすることなく、慎重に冷静に考えることができれば、勝率も上がっていくでしょう。